鹿児島県錦江湾沿いの春の風物詩と言われる黒酢の春仕込みが、鹿児島県霧島市で始まりました。
黒酢の春仕込みとは、屋外に並べた壷を並べた壷畑で、職人たちが江戸時代から続く技法で仕込みを行うことです。
桜島を望む丘に佇む、霧島市福山町一体は、壷造り黒酢の本場で、その歴史はなんと江戸時代中期の1800年初期からです。
福山町は、三方を丘に囲まれ、温暖で気温差が少なく、酢を作る菌が繁殖しやすい気候でした。
丘の地質も、カルデラのシラス層で、これにろ過された良質で豊富な水が酢の仕込み水に適し、米の入手もしやすく、さらに薩摩焼の壷が簡単に手に入ったことも、良い壷造り黒酢の生産を支える要因になりました。
現在でも、野外に整然と壷を並べ、米麹、蒸し米、地下水の順に入れ、最後に米麹を薄く浮かせる振り麹をして、ふたをすると、1年以上もの長い時間をかけて熟成させ、黒っぽい琥珀色に色づいた天然米酢に仕上げます。
長期の熟成により、黒酢には旨味成分のアミノ酸が一般の酢よりも多く含まれ、特有の香味やコクを引き出しています。
また、主成分の酢酸の他にも麹菌や乳酸菌の作用で多くの栄養分が溶け出し、調味料としてだけでなく健康ドリンクとしても注目を集めています。
春仕込みはだいたい3月下旬から5月中旬まで行う予定とのことです。
福山黒酢株式会社では、桜島と錦江湾をバックに広がる、約二万個の壺が並ぶ壷畑を見学することができます。
詳しくはホームページでご確認ください。
*敬称略
*写真と本文とは関係ありません
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