栃木県には海はありませんが、栃木県那珂川町では「トラフグ」を海ではなくて、温泉で育てているのです。
那珂川町では、山間部にありますが、旧小川町より湧出する温泉(塩分を含むナトリウム塩化物泉)は、塩分濃度が1.2%と海水(3.6%)の1/3程度で、いわゆる「しょっぱい温泉水」が多く湧出しています。
「塩水が出るのだったら、海の魚が育てられるのでは?」と、町の活性化につながる観光資源を考え、温泉でトラフグの養殖が始めたのがきっかけだそうです。
養殖施設は、廃校となった那珂川町武茂小学校の教室を活用しています。
那珂川町の塩化物泉の成分は、「ナトリウム」「マグネシウム」「カリウム」などが0.9%~1.3%とされ、これは海水よりも薄く、ほぼ生理食塩水程度です。
海で生きる魚は、海水の高い塩分濃度に順応するため、えらで海水を取り込んだ後、余分な塩分を身体の外に排出しています。
温泉トラフグは、その塩分調整をしなくて済む分、カロリーが成長に使われ、とらふぐはより大きく育つのです。
また、海で育ったトラフグは微量の毒を含有するプランクトンなどを食べることで毒を体内に蓄積するのですが、温泉トラフグは、安全なエサを与え、無菌状態で育てられているので、毒がなく安心です。
さらに出荷直前の12時間前に、トラフグを塩分濃度が海水と同じ3.5%の水に入れることで、薄い塩分濃度に慣れたトラフグは、肝臓に蓄えたアミノ酸を血液から筋肉組織に流し込み、それがうま味成分となり、温泉トラフグはさらにおいしくなるのです。
そのため、温泉トラフグは、天然のトラフグよりも甘みが強くて美味しいと言われています。
海なし県栃木の温泉の中で育てられた、天然トラフグにも負けない温泉トラフグを、ぜひ食べにお出かけください。
*敬称略
*写真と本文とは関係ありません
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